詩人:どるとる
「なんとなく」
「それとなく」
そんな言葉が好きなのは
言い切らず 言い尽くさず
曖昧で いれるから
猫はただ 人語を喋れぬその口で
ただみゃあと 何事かを 呟くだけ
見えない絵本の表紙を開いたら
言葉を 星屑みたいにばらまいて
殺風景なこの部屋に明かりの代わりにともそうよ
ねえ 口下手な夜もたまには
つぶやくこともあるんだな
寂しいよとか悲しいよとか
僕の口をかりてしゃべり出す
おかしなこともあるものと 鈍感な猫は餌にまっしぐら
新しい物語の冒頭にたどり着いたら
そこから始まる朝なのさ 夜明けは近い
目覚める街を 追いかけろ。