詩人:どるとる
余計なことは何も聞きたくない
いやなものは何も見たくない
無音の明日へそっと消えて行きたい 嵐の中で轟く雷鳴の最後の一撃みたいな
終わりを告げる合図のような靴音を最後の最後に響かせて
そして僕は明日へそっと消えて行きたい
何も聞きたくないと言ったけど愛する誰かさんの声は聞きたいし
何も見たくないと言ったけど愛する誰かさんの瞳は見ていたいし
だから僕は無音へは行けない まだ
命がつづくかぎり
明日がつづくかぎり
生きることを選ぶならば旅人の明日はつづく つづくよ
無音の明日へ行けないならせめて静かな夜だけはお約束していただきたいよ
それだけ手元にあるならばまだ笑える余地はあるから
騒がしい昼と静かな夜に守られてほら僕は幸せ
嗚呼 いつの間にか自分の中で途方もない夢は夢のままに消えた
もとの鞘に戻るようにほら今はもうない夢。