詩人:高級スプーン似
組まれた腕のように
いつも一緒に居た二人
仲の良かった片割れは
ある日忽然と姿を消した
アイツは
肩を落とし
失った片腕の
付け根辺りをさする彼にも
一番の友にすら
何も告げずに
どこへ消えたのか
それよりも
驚いたのは一週間後
新たな腕を生やした彼が
何事もなかったかのように
新たな友と
戯れ合っていたこと
あれだけ親しくても
それだけの関係だったのか
実は彼には
友と呼べる存在なんて
最初からいなかったんじゃないか
姿を消した彼にも
彼らの周りにいる人にも
更にその周りにいる人たちにも
本当は
みんな
友だちなんていないんじゃないか
友だちのいない私にはわからないけれど
「そんなことないよ?」
「私がいるじゃん!」
「えー」
「私たちって友だちじゃなかったの?」
「ショック……泣」
「笑」
「そんなことないよね!」
「私たちずっと……」
「一生友だちでしょ!?」
友だちがいてもよくわからないけれど