|
詩人:どるとる
片手でも両手でもぬぐえない悲しみを誰もが抱えたまま
いくつもの長い夜を涙流して繰り返していくんだよ、ああ悲しみは今日も人の上に降り注ぐ
世の中の悲しみにまだ触れて数年
それでも僕には十分すぎる年月
何が悲しいのだろう
全て悲しいのだろう
目の前にある悲しみ
その後ろで列をなして順番待ちのように次々と僕を涙させる悲しみたち
僕は悲しみに殴られて心も身体もボロボロ
まるでボロ雑巾のように汚れきっているよ
世の中の隅っこにはじかれて時に誰かを憎んだり僻んだりしてしまうけど多少は許せ
悲しみが悲しいのさ
ほら僕を濡らす
今宵もまた心は雨降り
そんなのあたりまえだなんて簡単にまとめないで
これでも悲しいんだ
ほらまた涙の雨が降り出すから
生まれたという運命を
生まれてしまったという運命のいたずらにもてあそばれている
時々そんなふうに思ってしまうけれど
なぜかな楽しいときは楽しいよ
そのいたずらに感謝してしまうほどに
僕らはまるで雨粒のような存在なのさ
空から落ちて地面にはじけるまでのあいだを生きてるんだ
そしてやがては落ちた滴だからはじけてしまうね
人の上に今日もあたりまえに悲しみは降り注ぐ
大小あるけれど
誰の上にも悲しみが
どんなずるいやり方したって避けられない
悲しみだけは
悲しみだけは
悲しみだけはね
心の中に立てかけられた勇気と根性という傘を我慢という力をつかって開かなくちゃ
悲しみをまともに受けたらひとたまりもない
僕はただそんな空を見上げて無常感に沈むだけなのさ
雨音に少し似た人々の嘆きを聞きながら
僕も悲しみを素直に涙という形であらわす。