詩人:ハト
宿題のプリントと
コンパスを持ってって
覚えてるかな、あの天体観測
あの頃私達は
たくさんの、たくさんの
星座を知っていたけどね
二人、隣り合って
覗き込むコンパス
明日がやって来る方を知ってる?
未だに方角が分からない
お日様はどっちから昇ってきたの
堤防に腰掛けて二人
握り締めたコンパス
今日がどっちへ帰っていくか知ってる?
今は白く塗り替えられた堤防
曲線を描いて平行に走る
私は私の
君は君の
方角を指し示していた
テノヒラの上のコンパス
疑いを持てるほど
利口ではなかったから
簡単に道に迷ってしまったよ
プリントの空白は
埋まっていったけど
私達の間には
あの夜空が
広がりつつあって
私と君は
こぶし何個分離れてるの
二人の距離繋げたら
何て言う名前の星座が出来るのかな
今は記憶だけが君の存在だから
降り積もった思い出だけが私だから
覚えてるかな
あの天体観測
覗き込んだコンパス
私と君、と名付けた星座
君のいるその場所から
私はちゃんと見えていますか
私からは君が見えません
コンパスの指す方を見る二人は
そういえばお互い
背を向けていたね
夜空が傾いて
バイバイと手を振った
君の家は天の川のすぐ近く
ねえ
明日がやって来る方を、
知ってる?