詩人:甘味亭 真朱麻呂
私はまるで芋虫
退屈そうに這い蹲るただの青虫
私はきっと蝶になることなくその短い一生を無駄に終わらせることでしょう
そんな私が恋をした
キレイな羽に見取れて
月明かりに照らされて貴女の美しさに一目惚れ
その日から私は夜も眠れずにいます
でも
こんな私にあなたが振り向いてくれるわけもなく
思いを伝える間もなくあきらめてしまいました
言わないでも返事は決まってますから
ただ
私は遠くから
こうして貴女を眺めているだけでいいのです
断られたときの悲しさに比べれば
こっちの方がいくらかマシですから
今夜もこうして
貴女の見えないところで
ひっそりと眺めるだけで精一杯なのです
芋虫の悲しい初恋の終わりでした。