詩人:高級スプーン似
疑ってしまうと
必要ないって気付かされる
だから
見ないように
踏み込まないように
考えないようにしてきた
ひとりで居ても
誰かと何かをしていても
わたしは他の誰でもないと
何者でもないわたし自身だと
信じなければ
わたしとして生きていられない
物真似じゃない
贋作じゃない
わたしはわたし
信じて疑わないと願っていたのに
無理していたから無理だったから
噛み締める唇
まるで下手糞
はじめからここまで
棒読みだった
いくら脚本が良くっても
演じる人がそれじゃあねえ?
滴る血
噛み千切ることも
途中で役を降りることも出来ずに
わたしはまだ
わたしを演じ続けている