詩人:高級スプーン
力が薄く弱い
心が濃く弱い
何をしても普通より
半分にも満たされない
よく鳴き
よく泣く女の子
溢れる涙は
ほとんどの人に
理解されずに
見守られずに
無下に飛ばされる
口で見て
鼻で見て
耳で見て
崩れて壊れて笑っても
鼻で食って
耳で食って
目で食って
砕け散りながら怒っても
耳で嗅いで
目で嗅いで
口で嗅いで
切り裂かれ軋み泣いても
目で聞いて
口で聞いて
鼻で聞いて
全を一や二にして喜んでも
微かな震源を
感じられるのは
触れられるのは
僅かな人間だけだから
僕が
脳に入るシワに
細心の注意を
バカみたいに
払っていた頃
君は
尻尾を振りながら
原始時代さながらの
不透明な鮮明さに
襲われていた事
後になって知ってそれで
触れられずに
感じられずに
抱きしめる行為に
疑問を抱きしめて
貴女を苦しめていた
堂堂巡りの人間性は
器を輪廻すだけの所為だ
近しい存在が離別すると
君はまた涙を流す
進化も退化も
ロクに知らず
優しい気分に
操られている
悟りを閉じて
踵を返し
笑いながら
その頭を撫で
愛でるフリしてる
いつまで続くのか考えて
シワの数だけ
バカになる
そんな人間が
生き続ける材料は
その涙と
その存在と
触れ合おうとしない
嫉恨のカスだ
優れない部分
選りすぐり同一視
異端視して
下から見下してる
限りない罰悪が
劣悪な僕悪に
降り貫いても
苦しむのは独りじゃない
人よりも多く触れられる
人よりも深く感じられる
挙げ句に道連れにされる
運が悪く
人が良い
君の罪は難だろう
短絡的に落胆し
どこまでも底へ
堕ちて活く
何をしても普通より
半分にも満たされない
よく鳴き
よく泣く女の子
今はやすやすと
すやすやと眠り
夢の内
弱いのは僕で
弱いのは君だ
強さを二分にした時点で
気付かなかったのか
あの日二人になった日に
今日こうなると
少しでも
思わなかったのか
分かってたんだろう
最初から
触れていくんだろう
最後まで
それなのに
バカ野郎め
この無能犯が