詩人:どるとる
すべてのものが真新しかった頃
僕らは目に映るものがすべて鮮やかで
敵なんかひとりもいなかったよ
世界は今よりずっと美しかった
だけど時々孤独が僕を包み込んで
帰り道、僕から家を遠ざけた
「自分」というものがわからなくて
「他人」というものはもっとわからなくて
ただひとつだけ 真っ白なシャツのように
曇りのない瞳で見つめた世界には
大げさなほど美しすぎる未来が視界の果てに揺れていた
たとえば愛も夢も何もかも曖昧で
誉められりゃうれしくて叱られりゃ悲しくて
単純な心を 抱きながらも傷つきやすい
硝子の心で いろんなものを見つめてた
はじめて親に逆らったあの夜は
夜が明けるまで長く感じたよ
あの日、見た朝焼けを僕はまだ覚えてる
どんな人のことを大人と呼ぶのか
どんな人のことを子供と呼ぶのか
あの頃の僕らの世界にはたくさんの不思議があった
汚れない心で見つめた世界には
嘘やまやかしなんてなく 正しいことがすべてなんだと思っていたんだ
そして気付いたものはいつしか生まれたあらゆる「矛盾」の中で
僕はもがき苦しみながらも ひとつひとつの矛盾に素直に向き合う無垢な少年だった
「自分」というものがわからなくて
「他人」というものはもっとわからなくて
ただひとつだけ 真っ白なシャツのように
曇りのない瞳で見つめた世界には
大げさなほど美しすぎる未来が視界の果てに揺れていた
「自分」よりも他人のことを優先して
考えることの出来る人を目指していた
それなのに裏切られることのほうが多くて次第に 僕は人を信じられなくなったよ
それでも、傷つくことをわかっていて
僕は大人よりも人間でいることを選んだ
人を憎むことよりも愛することを選んだ。