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[190830] みかんの器

詩人:高級スプーン似

物心つく前に張った伏線
未だに回収できずにいる
無理のない
着飾らない私を装って
あの頃から変わらない
気持ちを蔑ろにして
背伸びをしたまま今日も笑う
周りに気付かれていないか
本当は空っぽだってこと
行間には何も隠されていないよ
それなのに
探してほしそうな愁いを湛え
そっと目を伏せる
未だに回収できずにいるの
覚えているのに
悔しいくせに
本気を出すのが面倒だとか
終わっているよお前さあ
退廃的を履き違え
大人になっても
ボタンを掛け違えてしまう
笑っているのは私だけ
誰も見ていない舞台
立ち続けるのは苦しいでしょう
掛ける言葉を掛ける人のいない場所に
当たるスポットライトが眩しすぎて
希望の光が見えません
せめて真っ暗闇な森の中なら
隠された木に生い茂る秘密の一枚の葉
どんでん返しの結末を
掴めたかもしれない
って言えるくらい
まだ夢を見ているお前の目は何も見えていない
うまれたての赤子同然
よちよち歩きもできないで
ありもしない藪の中に思いを馳せる
物心つく前に張った伏線
今となってはもう

2016/02/03 (Wed)
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