詩人:どるとる
こうしてるあいだにも
命の砂時計は僕の残り時間を奪ってゆく
一秒さえ惜しんでしまうよ
一秒なんて味も素っ気もないのに
様々な場面がまるで走馬灯のように頭の中を駆け巡る
そんな夢の中
寒々とした風に背中をなぶられて
静かに目を閉じたら
その向こうに見えた深い闇につぶやこう
まだ まだ 僕はそっちへは行けないよと
僕はまだ生きていく
自信はいつも無いけど
言葉だけなら何度だって言える
ほら また 悲しい嘘がすべてを偽るためにあみ出された
ただ僕は風に吹かれてくだらない瞑想に耽る 偉そうに腕なんか組んだりして
周りの忠告さえ無視して歩き出す その先に待つ見えない未来に何が待とうと
ただ自分を信じていればねきっと光にたどり着けると
自分のせいで傷つくなら気楽なものさ
大丈夫 大丈夫だよ
何があったってさ
物思いに風に吹かれてるふりしてればいい
部屋の三角の小窓から差し込むやわらかな光
あんな希望で構わない
黄昏 夢心地 おままごとの延長100回戦
それでいいよ
何も大人らしい未来なんて欲しくもない
ガキ臭い暮らしでいいのさ
自分の一番大切な宝物を指差してごらん
それは言うまでもなくこの命
そうだろ
それだけあればきっと幸せになれる余地は消えない
可能性はまだあるさ
だから 笑うよ
今がどんなに雨でも
起死回生はありえるから
命が消えないかぎり
風に吹かれて
何度でも黄昏よう
何度でもふてくされよう
何度でも旅に出よう
いろいろ新しいことを試すのは億劫でもあるけどまずはね旅に出なきゃ何もわからない
だから僕は旅人なのだろう
だから風に吹かれてる
羽織った外套は常識という概念に縛られたものの証さ
ほら悲しい世界
だけれど幸せも夢もすべてはこの世界の何処かにあるのさ
だから
風に吹かれてひとり黄昏て
日々を訪ね歩いて
この時間の意義を探す。