詩人:どるとる
ああ 気づいたら
もう日はとっぷり暮れて
人もまばらな通りには
切なさだけがにじんでいた
持ち帰れずに 置き去りのままにした涙
ほら 帰り道の途中 ちらほら 見えます
悲しいことは悲しいままで
うれしいことはうれしいままで
ずっと続いてゆくんだなあ
昨日の続きの今日の続きは明日だよ
そして明日にも続きはある まだ遠い
昨日が嘘にならないように 今日も
嘘にはならない ちゃんと続きから始まる
つまずいたならつまずいたところから
立ち上がったなら立ち上がったところから
物語はまた始まる
ああ 寝覚めがわるい それさえ誰かのせいにした
本当は誰のせいでもないのに
泣きわめく代わりにひん曲がる
なんにもない 夕暮れは布団に横たわり
一日中 勝手気ままな夢を見て過ごす
笑っている自分が泣き出すと
笑っていた自分が嘘みたいに思う
そんな繰り返し 明日も振り出しから
今日の今日でまだ終わらない昨日の続き
時間は待たず ただ先へ急ぐだけ
今日流した涙があるのなら
明日こそは笑おうと少し強がるけれど
なかなかうまくはいかない人生だ
一歩進んでは二歩下がる 賽子振るようにはうまくはいかない
どこかの国で夜が明けるとどこかの国では朝が来る
すれ違う時間の中
僕らは互いに
同じ世界にいながら別々の今を生きる
それでもすべての人の物語は果てへと続いていく
昨日の続きの今日の続きは明日だよ
そして明日にも続きはある まだ遠い
昨日が嘘にならないように 今日も
嘘にはならない ちゃんと続きから始まる
つまずいたならつまずいたところから
立ち上がったなら立ち上がったところから
物語はまた始まる
面倒くさいが
また始まる
とんだ災難が
また始まる
ひと騒ぎが
また始まる
うれしい楽しいが
また始まる
続きの続きが
また始まるよ。