詩人:どるとる
名前のないものに
名前をつけたら
もう名前はいらない
たとえば僕が
僕という名前であるように
その名前は誰かがあとからつけた名前だ
ならば僕は本当は誰なんだろう
名前を名乗ってるけれど 本当は僕は
名前に名前を重ねて 自分は自分だと
言っているに過ぎないんだ
僕は僕ではなく 君は君ではなく
名前の名前をずっと自分だと思ったまま
嘘に嘘を 重ねるように本当を偽るように
たったひとつの命に名前をつけている
ただ人と人を区別するだけの名前ならいらない
僕はただの僕でいい
君はただの君でいい
人はみんな人でいい
名前なんてなくていい。