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詩人:どるとる
いつもの帰り道
いつもの夕暮れに
僕は片手にクリームパン食べながら歩いてる
甘さの中にある切ないほろ苦さはバニラビーンズのせいじゃないんだよ
見上げる空一面に広がる果てしない夕暮れのせいさ
甘い甘いクリームパンさえほろ苦くさせる夕暮れはなんて罪なんだろう
今日もまた大好きなクリームパン買って帰ろう
あたたかな夕陽の空の下 用もないのに歩きながらね
僕にはもうこのクリームパンしかなぐさめてくれるものは何もないから
一口 かじったら
口の中に広がるほろ苦い甘さ
ほら 夕暮れが空を真っ赤に染めている
五時のチャイムがタイミング良く鳴り響いた
夕暮れの切なさと
チャイムの切なさと
ああ クリームパンの甘さと優しさがあいまってとても心地いい夕暮れだな
ほら 明日もまたこの道を帰るとき
片手にはきっとクリームパンと空には夕暮れ
そんなイメージを抱いたまま僕は最後のひとかけらをほおばる
もう空は夕闇の口の中
真っ暗な夜の世界
冬の日の短さを見る
空には月が輝いていた
切なさはなぜかまだ消えないけれど
優しさがそれを補うようにかすかな甘さが僕を救う
日常のほんのありふれたシーンにそっと涙が止まらない
なんて 素敵な帰り道
ずっと 同じであれ
僕は夕暮れとクリームパンさえあればいいから
あとは大好きな君が甘ったるい日々を潤してくれる。