詩人:どるとる
巻き戻せない時を僕らは生きている
そんな事は知っていると思っていたよ
だけど大切なひとつをなくしたらすべてをなくしたような
気がして世界が途端に闇に包まれた
この世は ひとつなのにいくつもの
物語を内にはらみながら
今日も一人一人がそれぞれの今を描いているんだろう
ばかばかしい言い訳はそれくらいにして
たったひとつの命の終わりを悼みながら
今日の僕を見送るのさ もう出会うことのない景色とさよなら
道はひとつにつながっているのさ
足跡も見えないだけで刻まれてる
人は大切なひとつを抱きしめられれば
それだけで幸せになれる 単純なのは変わらない 君も僕もばかがつくほど単純で
ページをめくる君の手が すこし震えてる
怖いのは僕も同じだ だから僕は震える君の手にそっと手を重ねて 一緒にページをめくるよ
ばらばらだった二人の鼓動が重なって
ほらだんだん足並みもそろってきたよ
不器用なステップで歩み始めた足取り
たったひとつのものが僕のすべてになる
それを単に愛と呼んでしまえば簡単だ
でも、僕は愛とは呼ばないんだ
だってそんな事言葉にするまでもないから
この世は ひとつなのにいくつもの
物語を内にはらみながら
今日も一人一人がそれぞれの今を描いているんだろう
ばかばかしい言い訳はそれくらいにして
たったひとつの命の終わりを悼みながら
今日の僕を見送るのさ もう出会うことのない景色とさよなら
そして再会する今日にはじめまして
お辞儀する僕の横には笑顔の君がいる。