詩人:どるとる
いくつもの長い夜
いくつもの涙
その数だけ生まれた悲しみ そして切なさ
流れた涙 瞳からこぼれ落ちて 行方も告げずすぐにさよなら
こえてきた夜の数だけある切なさも悲しさもすべて今では無神経なほど素晴らしい思い出に変わり果てたよ
でもあの夜やあの夜の涙をなかったことにはできないんだ
僕がいちばん知っている
とてつもなく長い夜に戸惑いを隠せないまま 見上げた空に星がひとつ流れた
とてつもなく深い思いに涙が止まらない
そんな気持ち はじめてじゃないから
少しは楽だけど でも悲しさや切なさは同じ
だから 僕も行方も知らせずに自分の心の中に閉じこもるのさ
いくつもの言葉
いくつものイメージ
いくつものアイデア
いくつもの試行錯誤
僕は繰り返しては
頭を抱えて今日も
生きているけれど
いくつもの長い夜
いくつもの涙
その数だけ生まれた悲しみ そして切なさ
今もぬぐえないまま
ほんとはこんなの作り笑いさ
記憶を単にだれかのお気に召す形にねじ曲げただけだよ
ほら裏を返せばただの張りぼてさ
悲しみも切なさもまだ僕を追いかけてきているんだ
平静をよそおった日々の結末はきっと今とそんな大差はない
だけれどまだ続くんだ
まだ続くだろう
世界は朝になっても
心の中はね だれかに見せてやりたいほど
夜が続いてる
生まれて悲しみを知ったあの日から
きっと僕の心に朝が訪れたことはない
嘘だと思うだろう?
でもほんとなんだ
きれい事なんかいらない
僕は今 心の中のとてつもなく長い夜の片隅で涙をひとり流す
ぬぐってもぬぐってもぬぐいきれない気持ちひとつに強がりさえまるで歯が立たず
見上げた空にゃ
大きな月がだれを照らすでもなくただバカのひとつ覚えのように輝いている
ああ おまえも同情するのかよ?
そんなのいらないから
ほかの人を照らしてやりな
ふいに出た言葉。