詩人:どるとる
指先から 伝わる
感触は
本当は 嘘なんだ
感覚がなかったら
きっと無いのと
同じだろう
そんな寂しいことは
言わないで
たとえば花を美しいと思うこと
たとえば空や海や
道行く人を見て
その中で
愛する人を愛おしいと思うこと
それはすべてこの心が思うこと
見えないものをいつも信じない僕らが
見えないものにいつも助けられている
皮肉だろう
何でもある世界でも何ひとつない世界
見つめているもの聴いているもの
視界を遮ってしまえば
音を遮断してしまえば
すべて嘘になる
この頬を すべり落ちる涙の冷たささえも
皆と分け合ってる 同じもの見つめても
同じもの聴いても
花が花であるように
言い換えれば
花は花でしかないように
僕は僕でしかなく
僕は僕にしかなれないんだ
だからすべてのものにそれなりに存在する意味がある
この 気持ちさえ
嘘でも 嘘と
思わなければ
この世界は本当だ
この命は本当だ。