詩人:高級スプーン似
名前を下さい
透明な存在に名前を下さい
教室に
街中に
会社に
家庭内に
社会の片隅に
またはお前の背景に
溶け込んでいるのに
ねえ こっちを向いてよ
何をすればいい
何を為出かせばいい?
もういいかい
まあだだよ
探してくれる人など
誰もいない
いないいないばあ
隠れるのはもうよそう
もういいよ
はやく見つけてよ
お願いします
名前を下さい
透明な存在に名前を下さい
大事な存在に危害が及べば
気付いてくれますか
反社会的な行動をすれば
社会的に承認してくれますか
この透明な存在を
※
醜悪な毒虫の背中が割れて
顕現するのは家鴨か白鳥か
未だ割れない背中を
鏡越しに眺めては嘆息する日々
息も絶え絶え息苦しいのに
息絶えない死に損ない
報われない
罅割れないから
生まれ変わることが出来ない
醜悪で透明な存在には
未だ名前が無い
※
静かに立っているだけでは
気付かれないのかもしれない
頭の中では
堪え難い苦しみに
のたうち回っている
振り向いてくれるだけでいい
それだけのことが
どうして出来ないんだよお前は
名前を下さい
透明な存在に名前を!