詩人:リコ
誰かが散らかした
21色の色鉛筆
足音は風になり
コロコロコロと
回り出す
誰かが侵入した
白で統一された部屋
赤くなり黒くなる
誰かはまるでペンキとハケだ
座りこんで
誰かを見上げていた
右腕だけが肉体意識から放れ
私を見てる
笑ってる
壁に突き刺さった
白い色鉛筆
誰かはそれを知ると
部屋を出ていった
けれど
誰かはすぐに部屋に戻って来た
さようならを
告げにきたのだと
その時誰かの声を
初めて聞いた
私は
こんにちはとだけ
言った
誰かはあなただ
誰かは君だ
君は私の右手の爪と指の隙間から
ヒュイと吸い込まれるように
右腕に入りこんだ
私にとっての
22人目の君は
22本目の君になる
入口がなかった
この部屋は
君が作った
扉によって
私はようやく
朝と夜を見る
その回転が
その相対が
その普遍が
その無常が
美しいと
私は知る
右腕の中で生きる君が
知っていたよと
語り出す