詩人:さみだれ
野に咲く花の名を知らず
"露とて涙になりうる"と
通りすがりの綿毛の行方
その孤高に誇りを見出だす
誰より高くあろうとし
"鳥とて空になりうる"と
しゃれこうべが土の中
半分目をだしえへらへら
とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します
私が八つばかりの頃
青い恋をしたのだが
それは盲目愛にはならず
知らぬ間に幕は下りて終う
風下は咳するものと
子供だけがコトリと置かれ
風上はなんとまあ
すんばらしい人ばかり!
はて、目地はどこにあるかしら
詰めはしないさ、詰めれはしまい
物言う鳥の喉を裂き
聞いてもらおう世間の痴情!
頷かなければ篭から出さぬ
出しても飛べる空などない
逆さに反せば言葉は出ようが
出たらば腹を裂いてやろう
とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します