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詩人:どるとる
なんにもない テーブルにいつもの
朝ご飯が 並んでるような風景
ニンジンが嫌いなのもずっと昔から変わらない
お皿の端っこに よけて食べるのも相変わらずだ
開けた窓から 見えた ぬけるような青い空
海をひとつ越えればまだ戦争してる国もある
信じられないなあ
ここから見える世界は平和そのものなのに
たとえば 朝のテーブルに
いつもの 食べ飽きたパンとスープ
それだけで 幸せなのにまだ
何かが足りないよ
でも思ったんだ
ふと目線をずらせば見える君の笑顔
それだけで なんとなくほっとする
だからこのままどこまでも流れてゆく
こんな毎日が 過ぎていって やがて世界の終わりを連れてくるまで
意味もなく 笑うくせがついたのは
誰かに弱さを見せたくないから
誰かが流した涙を笑ってしまうのは
まだ弱い自分が 僕の中にいるからだ
鏡に映る 自分の姿はさぞかし醜いだろう
愛というものを 言い訳にしてしまえば
きっとすべてが きれいごとになってしまう
それじゃいけないなあ
だからたまには汚れてみるのさ 愛を知る為に
たとえば ここから 見える小さな世界
青い空と白い雲 狭苦しい部屋
それだけが 僕の世界なんだよ
当たり前にある
この世界なんだよ
気づかないくらいに当たり前になってる
呼吸するのと同じように そばにいる
だから特別だとも思わないよ
こんなふうな毎日を 幸せと呼ぶのならば僕は何も望まない
「何もない」それはきっと幸せなことだ
だけどそんな暮らしを満たしてるのはなんだろう 空っぽに見えて
たくさんの思い出が僕らにはある
たとえば朝のテーブルに。