詩人:あいく
色塗りが
下手だった
だからあえて
塗ろうとも
しなかった
とうぜん
連邦の白い悪魔は
本当にただ白いだけ
赤い彗星は
本当にただ赤いだけ
しかし今思えば
下手でも塗ったほうが
彼らは生きたのでは
なかったのか
色の無い
プラスチックの
お人形たちは
私が大人に成る事を
待つ事も無く
いつのまにか
姿を消していた
大人になって
彼らが消えた事
あるいはあるいは
彼らがいた事すら
忘れ去り
今自分が作ろうと
しているものに
また色を付けずに
すましてしまおうと
していないだろうか
つまらない恐れに
小さなわだかまりに
色を持たせる事無く
感傷すらないままに
消失させてしまう
そんな事を
繰り返してしまう
夢枕に彼が
色の無い連邦の
白い悪魔が立って
こう言うのさ
「勇気だよ
筆をとって
どんな色を
付けるにしたって
あんた次第さ
だから
あんたが作った
ものになるんだから」
あした
筆と
プラカラーを
買いに行こう。。。