詩人:どるとる
想像してる イメージの水面に浮かべた
小さな舟 沈まずに行けるか明日まで
何もない 今日の中に
或いは その深淵に
あるはずの 光に今
手を伸ばして つかまえる
幸せは 触れられるものではなくて
ましてや つかまえておくことも出来ない
だけど 感じることは出来る
たとえば ここからでも見える景色
当たり前に そこにある 広すぎる空の青
その中に にじんでる 痕跡
ひこうき雲みたいに
影だけを残して消える
続いていく 物語には名前など無いのさ
今日もまためくるページ まだ白紙のまま
くだらない 会話の中で
見つけた 言葉の間合いに
隠れている 痛みに今
迷わずに 歩み寄る
幸せは 誰かがくれるものではなくて
きっと 追いかけるものだって知ってる
だけど 空っぽの世界にも生まれる
たとえば 通り過ぎる人たちの後ろ姿
気づかないくらいの小さな命の悲鳴
その声は 宛もなくさまよう
渡り鳥のように 行くべき場所を知りながら立ち止まる
今僕を この世界を
縛りつける わがままな掟に 逆らって
少しだけ 道を引き返す
なくした 何かを 取り戻すように
幸せは 触れられるものではなくて
ましてや つかまえておくことも出来ない
だけど 感じることは出来る
たとえば ここからでも見える景色
当たり前に そこにある 広すぎる空の青
その中に にじんでる 痕跡
ひこうき雲みたいに
影だけを残して消える
画用紙いっぱいに広がる世界
本当は掟など無いのさ
この世界には題名なんて 都合のいいものはついていないから。