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詩人:どるとる
ねえ ただひとつの命が消えたら
もう同じ波は 押し寄せないのです
ねえ もうひとたび 命が押し寄せても
それは同じ命とは呼べないのです
苦し紛れについた嘘のように
千年越しのはじめましてのように
懐かしくも新しい 風が君を運んでゆく
死んでいった時の歌声があるとしたら
それは 胸の中にひびくこの心臓の音さ
さよなら もう出会えない旅から旅へ繰り返すように
夜は朝になり世界に
ただひとつのあなただけの夜明けが来る
その夜明けははじまりでもあり終わりでもあること
忘れないで すれ違う命の不思議
大切な誰かの声が世界中から消えていく
そんな悲しい朝が来ないように願うから
せめて最後は 痛みのない安らかな顔で
誰かが寂しくないように空よ晴れ渡れ
世界よ 平和であれ。