詩人:どるとる
僕らには行き先などないのさ
僕らには予定などないのさ
長いトンネルをしばらく潜ってる
何故だろう いつまで経っても
抜け出せないよ
誰もが買うことを許されている切符には
どこどこまでなんて書かれてないからね
最初から 生きる意味なんて悲しいほどに
無かったんだねえ
だから多少のことには目をつむり
雑踏の中へ 僕はまた逃げるように消える
今日もまた 終電がない
僕らには心なんて あるようで無い
鳥かごの中で飼われてるから
息をするようにさわぐ夜の闇が
何故だろう いつもよりやさしくて
ふと死にたくなる
たとえば 空を飛べる羽根があるなら
僕はこんな世界なんか捨てられるのに
何もかも 嘘ならば今日など無くていい 光など邪魔なんだ
それでもこの心は朝を欲してやまない
静寂の中を 埋めるにぎわいが命を沸かす
今日もまた 愛に飢えている
光にも見えたんだ
あの日 出会った
小さな優しさが
僕に生きる喜びを
はじめて教えてくれたのにその優しさにはもうふれられない
最初から 生きる意味なんて悲しいほどに
無かったんだねえ
だから多少のことには目をつむり
雑踏の中へ 僕はまた逃げるように消える
今日もまた 終電がない
僕が乗るための
終電はない
気づけばいつも過去が走り去ったあとなんだ。