詩人:どるとる
すべての愛しいものが
皆、同じように呼吸している
形があるなしに関わらず
上手い下手に関わらず
呼吸している
生きているという
わかりきったことを確かめるための一番わかりやすい方法は
呼吸しているか
していないかだろう
でも 呼吸しているだけで本当に生きているといえるのかなあ
その呼吸のひとつひとつに ちゃんと喜びが無いと悲しいだけだ
「泣きたくなる、呼吸をするたび」吐き出した時たまらず溢れ出る涙
「僕は生きているんだね」
そう思ったら 世界が途端に色づくのがわかった
気づけばもう空は暮れて
日が傾いてく 夕暮れの街並み
顔を見合わせて笑ったよ
お互いの顔が夕陽で真っ赤っかに染まってる
ただ呼吸を繰り返すだけで生きられる
簡単なことなのに
時々それがたまらなく苦しくてでもうれしくてしかたない
数えきれない呼吸の繰り返しが 生きていることを明らかにする
たとえば明日笑えるなら苦しい今日の呼吸もいとおしい
もう死にたいなんて間違っても思わないよ
この世界はまるで複雑に絡まった糸の形
「僕は生きているんだね」
そんな当たり前のことに気づいたら すべてが輝いた
忘れてはいけないことは呼吸は必ずしもその人に幸せを 恵んでくれるものではないということ
「泣きたくなる、呼吸をするたび」吐き出した時たまらず溢れ出る涙
「僕は生きているんだね」
そう思ったら 世界が途端に色づくのがわかった。