詩人:さみだれ
私は死んでいる
そう思わなければいけない
プログラムされた
どこかのメガネ野郎に
機械的に
消化されていく毎日
生きて残すものなどない
あるとすれば
あなたを愛さなければいけない
このプログラム
この基板だけ
あ、
風がびゅうっと吹いた
木の葉が囀り
車が走り抜けた
私は信号を送り
右手を動かした
それは風を感じたいと
望んだからだろうか
何とは知らず待っている
冷たい手
私は死んでいる
そんなことを言われた
成長もなく
忘れることもない
少し回路をいじれば
簡単に消える
少し回路をいじれば
簡単に眠れる
ただ自分ではどうしようもない
だって死んでいるから
ああ
それはもしかしたら
ものすごく幸せかもしれない
私が機械化されていないなら
ものすごく幸せかもしれない
なのに
あなたは言う
人間だったらよかったのに
と
私の許容量を
遥かに越えた思想
その回路に代わるものが
あなたには何だとわかるのだろう
私はあなたを愛さなければいけないのに
それが果たせない
私のプログラムでは
それが果たせない
死んでいる
のか
生きている
のか