詩人:さみだれ
くじらがいました
大きくてお腹の白いくじらです
手はふわふわと水をかき
いわしたちはくじらのかげに隠れて
口をあんぐり 呆けていました
くじらのそばには魚がいません
みんな怖くて逃げていきます
くじらはとてもさみしくて
また 悲しくて
太陽が見えないほど
ふかくふかくもぐっていき
わんわん泣きました
岩かげにかくれていたタコは
なんだなんだ!とびっくりして
こっそり顔をだしてのぞきました
大きなくじらが大きな声で
わんわん泣いていたのを見て
タコは長い足を一本だして
くじらの体をなでました
くじらの体はとてもあたたかく
優しい気持ちが伝わってきました
タコはくじらが泣き止むまで
ずっとそうしていました