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[186949] いつかの光

詩人:どるとる


通り過ぎた駅の小さなベンチの下にそれはそっと咲いている
忘れられた思い出のひとつのように 記憶の奥底にしまわれただけ
僕はいくつもの季節を もう何度も越えてきたはずなのに
「変わらない」それだけで 一歩も前には進んでないんだ
僕らはいまだ旅の途中
今という時間は いわば車窓からの眺め

ページをめくるように 刻まれる一分一秒
惜しむ時間もなく 過ぎ去ってゆくだけの時間を 僕らは思い出という押し花にして
けして忘れてしまわないように 心の引き出しに 宝物のようにしまっている

決まった名前なんて多分いらないんじゃないかなあ
雨上がり 水たまりがキラキラ光を反射して 世界を映すよ
のぞき込んだら 君の顔が映る 君は不思議だと笑った
「変わらない」それもまた 幸せになるためのコツです
僕らは いまだ 人間の練習中
笑うことも泣くこともまだ覚えたてなんです

僕の中で あなたの中で ゆらゆらと揺れる
振り子のような 行き交う人の形をした思い出が 風に乗って
明日に向かうあなたを追いかけてくる そしてまたあなたは思い出す いつかの光

往々にして さすらえば 忘れゆくものもあるだろう
だけれど忘れてしまいたくないものは
いつまでも いつまでも あなたの中で 何度も同じ花を咲かせるから

ページをめくるように 刻まれる一分一秒
惜しむ時間もなく 過ぎ去ってゆくだけの時間を 僕らは思い出という押し花にして
けして忘れてしまわないように 心の引き出しに 宝物のようにしまっている
そして、あなたはきのうのように 今日という日を思い出す。

2014/11/30 (Sun)
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