詩人:夏の幻
ペンギンが空を見つめていた
神様が与えてくれたたった一つの力 空を飛ぶ力
しかし ペンギンは海への憧れを忘れなかった
神様は幾度となく聞いた
君は海を飛ぶ力が手に入るのなら 空を飛ぶ力を惜しむことはないのだね?
ペンギンはただ何も言わず首を縦に振る
神様は頑固なペンギンが可愛くてたまらなかった
いつかその頑固がなくなると思うと力を与えようとする気持ちを抑えていた
神様はそんな自分がいつしか嫌われてしまうのではないかと思う度
涙が一筋頬を流れた
そんな神様を思い出し
ペンギンの海水で濡れた頬にも涙が一筋流れた