詩人:橙丸
桜並木のその向こう
少しはずれの目立たぬ場所に
風も薫れば桜色
桜並木を歩いてみれば
桜の花びら舞い落ちる
あまりにたくさん落ちたから
まるで桜の花びら模様の道
街も負けじと桜色
見知らぬところを歩いてみても
どこもかしこも桜道
あまりにたくさんありすぎて
きれいな花も褪せてくる
桜並木のその向こう
少しはずれの目立たぬ場所に
ひと月前は咲いていた
白い梅の花咲いていた
桜の花もいいけれど
俺はお前のほうがいい
下から順に花をつけ
もうすぐ春が来るよと教えてくれる
小さくけなげな白い花
自己主張が激しい桜より
人知れずひっそりと咲くお前がいい
人知れずひっそりと散るお前がいい