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[78610] 大人になりかけた子ども

詩人:あやめ

ぼくは1年前に暖かくて過ごしやすい家を去った。
それ以来ほくは1年ほど時の中で旅を続けている。

別に家が嫌いだったわけじゃない。
子どもである自分が嫌いだっただけだ。
自分の世界を切り開いて成長したかった。
ぼくは早く大人になりたかった。
ただそれだけだった。

ぼくとっては全てが冒険の毎日だった。
学校の勉強も、新しい生活も、全てが冒険だった。
毎日の時間は旅人であるぼくにとっては新鮮だった。
しかしそれもあるときまでだった。

本気でやめてしまおうかと思ったこともあった。

それでも、ぼくはやめなかった。
やめても楽にならないということを知っていたから。
やめたら絶対後悔することを知っていたから。
もちろん、今のぼくには何も残らないことも知っていたから。

家を出て色んな人と出会った。
ぼくはこの1年でかなり成長していると思っていた。
ずいぶん大人になっていると思っていた。

でも実際のぼくは大人ではなく、ただの子どもだった。
年齢も心もちっとも大人ではなかった。
ぼくはひどく傷ついた。

この1年ぼくは大人になろうとして必死だった。
はやく大人になりたい。
ただそれだけだった。
でも、1つだけ忘れていたことがあった。

大人というものが何なのか、わかっていなかった。

2006/06/22 (Thu)
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