詩人:颯爽
白い息が飛ばされてゆく
君は何かつぶやいたけど
冷たい風が邪魔をして
よく聞こえないんだ
暗闇に包まれた静寂の中を
吹き抜けてゆく風
孤独と焦燥に晒されて
それでも君は此処にいる
どうか
心の奥にある闇まで
僕の灯りが届きますようにと
君の手を強く握った
頼りない言葉達の中で
どれだけ想いは伝わるの
君の言葉は
また風に流された
そして
僕はもうひとつの世界を知ったんだ
聞こえてくるのは風の音
君はうつむいて
語ることをやめてしまった
君の冷たい掌から
悲しい温もりが伝わってくるんだ
僕らは歩き出す
先の見えない心の奥に踏み込むための
小さな一歩が
胸を砕いても
全てを壊しても
この風に負けないように
君の手を強く握って
聞こえてくる声の在処へ
届きますようにと
願いながら
そして僕らは
痛いくらいに響く
君の声を聞いたんだ
何度も
何度も