詩人:灰色
俺はいつも逃げているだけ。
俺はいつも格好つけているだけ。
俺はいつも求めているだけ。
俺はいつも分かった振りをしているだけ。
何か確かなものが、
何か変わらぬものが、
何か護りたいものが、
何か決して俺を裏切らぬものが、
欲しい、欲しいと
駄々っ子の様にごねて、自分勝手に涙を流す。
それなのに、人の前じゃ格好つける。
誰より臆病なのはこの俺なのに。
全てをわかっている振りをして。
自分で目を閉ざして真っ暗な道に、
しゃがみ込んでいるのはこの俺なのに。
進んでいるかさえ分からないのに。
しょうがないさ、と自分自身に見切りをつけて。
現実が嫌いで、ヒーローが欲しくて。
そんなヒーロー、俺の前には現れないのに。
ヒーローになりたくて。
完全無欠なスーパーマン。
俺には無理だと知っていながら。
声色の変わる自分が嫌いで。
そのクセ、どうしようもないと
わざとらしく溜め息吐いて。
俺はどうしたら自分が嫌いじゃなくなるだろう。