詩人:カナリア
秋も深まり 赤みを増した葉は 自ら命を断ち
それはまた次の“僕ら”を産み出す為であり
それは
ほんの少し淋しくもあり
ほんの少し優越を帯びる
静かなる その場所に
白髪の髪を結い上げ 少女の様な ほほ笑み零す
老女の姿
彼女の小さな肩を包むは
小豆色のカーディガン
静かなる その場所に
白髪の髪を綺麗にくし通し木枯しに吹かれて 頬を赤く染めるは
藍色に染められし 襟巻の向こう…
静かなる その場所
二人を繋ぐは
小豆色と藍色の細い糸
愛しそうにその糸を指に絡め…その先は…
切ってしまうのは
ほんの少し淋しくもあり
ほんの少し優越を帯びる
「この糸が自然に切れるまで手を繋いで歩きましょう」
二人歩く 落ち葉の絨毯
二人をはやしたて
彼らは 静かに眠りに堕ちていく