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詩人:どるとる
時間の川 サラリ サラリ
無音の流れ
だけれど 日々はいつも残酷に過ぎる
激しい流れ
「あっ」という間もなく1秒が息絶える
時間と時間の積み重ね
それが人生
そこに思い出というお利口なメモリーを刻み込む
忘れても忘れたくない そんな思い出を
残酷な時間の流れ
無音でも何も感じないってことはないよ
やさしい流れ
でもそのやさしさは残酷な日々の表の顔
裏の顔は鬼も腰を抜かすおそろしい顔
ああ 今日も
時間の川 サラリ サラリ
流れ 流れる
何かを僕らは失い
何かを僕はそこで拾う
合間 合間に 見える涙 そして喜び
リアルなんだけど
あまりにも
つくられた世界の配色に悶絶
好きな色
嫌いな色
様々に織り交ぜられた人々の意見が集う街
イメージとイメージがごっちゃになった街
ほら 好きになれないのも仕方がない
この世界はあまりにも無音すぎるよ
人の命が終わってもまた流れはなんのかわりもなく続くから
言いたいことはそれだけかい?
聞かれるまえにこたえるよ それだけだよ
世界でいちばん静かな場所で
世界でいちばんやかましい雄叫びをあげたい
何も聞こえないんじゃない
僕が聞こうとしないだけだ
何も見えないんじゃない
僕が見ようとしないだけさ
だから無音の世界
ほら
暗い部屋 ひとり
ディスプレイ画面にうつった自分の顔が泣いている
それはなぜだろう
自分がつくった世界
だけどひどくもろい発泡スチロールの城
いちばん僕が知ってるよ
この世界こそが世の中でいちばん静かで安心できるって
でも巣立てない鳥に未来はない
それも知っている
悲しいほど空が遠く遠く見えるよ
月にさえもそっぽ向かれてるようで
ああ 空が遠い
抜け出せないこの安堵感
顕微鏡からのぞかれなくちゃわからないほどの存在さ
世の中じゃ
そんな自分と現実の間を隔てるあの扉
何千キロにも見えて目が眩む。