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詩人:あいく
一人静かに
旅がしたいと
思い付きで
私は旅に出てみた
昼下がり
旅先のカフェで
相席を頼まれた
「すんません どうしても
込んじゃう時間帯なんすよ」
軽いボーイだ
私は
人が良いわけではない
ただ気弱なだけだ
断われないなら
笑顔で了承
通されたのは
歳も近かろう
なかなかイイ女
「ごめんなさい
お邪魔しちゃって」
悪く無い
そう思ったのは
最初だけ
まったくよく喋る
「あら 貴方も一人旅?
私は・・・
・・・
それで休みを
とったんだけど・・・
・・・
以外に詰らなかったり
するものね・・・
・・・
とこであのボーイ
ホント軽そー・・・
・・・
それでさ・・
・・・
でね・・・
・・・
・・・なのよ」
私はあんたのツレか
辟易しても
顔にはだせない
我ながら愛想笑いが
上手な事で
うんざりするなら
店を出ればいい
まったく間抜けだ
気付いたなら早速
それじゃぁと
伝票に手をのばす
「あ 相席してもらって
悪いからコーヒー一杯なら
おごらせてもらうわ」
まったく何を
言い出してくれるんだ
見ず知らずの
しかも女におごらせる
そんなの出来るわけない
だがしかし
あ いやでも
なんて半端な断わりは
返って逆効果
なんて後で思っても
しょうがない後悔先にただず
「気にしなくていいから・・・」
と言われても
気にしないではいられない
女に会計させて
一緒にカフェを立つはめに
特に目的もなく
歩いているつもりだが
何故か一緒になって
女も歩いていた
その間もずっと
女のお喋りは
止む様子も無い
「あ そう言えば・・
今度はなんですか
少し怪訝に女を見ると
「まだ名前知らないね
あたし・・・ 君は?」
お互い名乗り合う理由が
いったい何処にあるんだ
カフェで相席
それ以外は全くもって
無関係と言うやつじゃないのか
そう思っても生来の性格が
意に反して答えるのだから
どうしようもない
「へー イイ名前だね」
女は笑顔でそう言った
一体何が嬉しいのやら
...To be continued