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詩人:どるとる
夏は君に 語りかけてくる
「もう忘れてしまったのか」と
少年の日には ただ青い空を
飛ぶように 走り回っていたよ
膝小僧に すり傷 つくって
自転車ひとつあれば どこまでも行った
泥だらけになっても平気に笑ってた
いつの間にか そんな気持ち 忘れてしまったんだ
今はただ 忙しい日々に 身をあずけているんだ 身を削っているんだ
それがなんだか 悲しくて
それでも夏がくれば 僕も30度を超える陽射しの中で
目を閉じて あの日、感じた気持ちを
心の中で思い描きながら 開けた窓から
広がる空を見ている
寂しそうに壁に立てかけられたギター
もう何年も弾いてない
久しぶりに手にとってぽろんと鳴らせば
間抜けな音が 小さな胸をゆらした
東京のくらしは どんなもんですか?
遠く離れた家族からの手紙が届いた
生まれた場所に帰って 家族に会いたいよ
夢だとかもう 放り投げて 時々そんなふうに思っては 諦めきれない夢と 向き合っては 目をそらして
悔しいやら 憎たらしいやら
アイスを食べながら あくびひとつして 扇風機ひとつだけの部屋の中 蒸し暑い夏の夜
心のひだを さざ波が 撫でていく 東京の夜空にも星が光る
愛する人と もうじきしたら そっちに 行って
紹介するよ 笑った顔がかわいらしい素敵な人なんだ
ああいつの間にか そんな気持ち 忘れてしまったんだ
今はただ 忙しい日々に 身をあずけているんだ 身を削っているんだ
それがなんだか 悲しくて
それでも夏がくれば 僕も30度を超える陽射しの中で
目を閉じて あの日、感じた気持ちを
心の中で思い描きながら 開けた窓から
広がる空を見ている
今は 愛する人と二人。