詩人:どるとる
そら言は 曇り空に消えて
降りしきる雨音を 僕は聞いていた
通りに紛れる足音の中に
隠れるように 潜むあなたの鼓動
大事なことは 何も言葉にしないで
そう たとえば 夢のように
微睡みの中に沈んで
何度も何度もノートに書いた空想のストーリー
そこにあった世界はきれいごとのように
悲しいことなんて ひとつもなくて
誰かが机上の空論だと 笑わなければ
いつまでも僕は あまい夢の中で
終わらない余韻に浸ってられたのに
待ちわびてる 朝は遠くで
こっちの様子をうかがうように見てる
ひたすら嘘をつくだけのゲームを今から始めようか
死ぬまでの退屈な時間を埋める
暇つぶしのような 愛だから
口づけさえ よそよそしい
消してはまた書いて繰り返し広げた自分だけの箱庭
もっと深くまで 鋭利なナイフのように
心をかき乱して 悲しみさえ忘れるほどに
誰かが いつか上げた小さな産声の中に
かすかに見えていた光は今ありますか?
いくつかの答えといくつかの問題を
残したこの世界は 断崖の様相を呈して
瞼に突き刺さる光のかたち
ありとあらゆるひとつに ねじ込められた飽くなき願い
全部 愛ならば 僕も君みたいに
あっけらかんと笑ってられるのになあ
何度も何度もノートに書いた空想のストーリー
そこにあった世界はきれいごとのように
悲しいことなんて ひとつもなくて
誰かが机上の空論だと 笑わなければ
いつまでも僕は あまい夢の中で
終わらない余韻に浸ってられたのに
誰が それを 否定したんだろう
君自身が 一番先に
否定したんだろう
否定したんだろう
否定したんだろう
否定したんだろう。