詩人:どるとる
僕の手を引いて歩いていく 果てしない彼方まで
連れて行くように連れて行かれるように
それはやったりやられたりを繰り返す
子供の戯れのように寄せては返すかたち
「生きていればいいことがあるよ」とか そんなわけはないのに
みんな 言うんだよ
「降り止まない雨はない」とか「明けない夜はない」とか
きれいごとで 守られてる世界には
血の通ったあたたかい涙どころか 心の影さえ見えなかったよ
僕の生まれたこの世界には 夜明けなんて あるようでないような ものだからね
ごまかしながら 欺きながら繰り返す
だまされてるとわかっていて付き合ってる
「生きていくことだけが正しいことだよ」とかそんな不確かな言葉で
なんでも片付ける
「生きていても苦しいことばかりだ」とか「悲しみのほうが多いくらい」だとか言ってくれたならまだ 信じられたのに
嘘つきの世界には薄汚れた優しさが 僕らの命を一番 嘲ってる
脈打つ心臓が 一番最初に 発した第一声は
生まれたことをただ声にしただけで 生きていることを喜んだわけじゃないのに
まだ何も知らない僕たちの産声を
誰が 勝手に都合のいい解釈でねじ曲げたのか
「生きていればいいことがあるよ」とか そんなわけはないのに
みんな 言うんだよ
「降り止まない雨はない」とか「明けない夜はない」とか
きれいごとで 守られてる世界には
血の通ったあたたかい涙どころか 心の影さえ見えなかったよ
この世界には 幸せなんて最初から ひとつもない
ただ、悲しみをごまかすための 精神安定剤の代わりならある。