詩人:どるとる
道草が過ぎたな いつもの帰り道で
少しだけ 何かが起こりそうな気がしてたのに
積み木でも 積み上げるように
それは壮大な でも それでいてひどく単純な連鎖
いつかみんなでつくった秘密基地は
もう影も形もないけど それでもまだ
残された世界に 風の余韻だけで回るジャングルジムと
砂場に 転がる小さなバケツとスコップ
誰かがつくった くずれた砂山
僕らはそんな思い出を忘れるために 今日を生きてる
それだけは間違いないんだ
拾った猫は 高架下にダンボールで
寝床をつくったけどすぐに 死んでしまった
お墓をつくった子供の一人が言った
「こんなことになるなら知らんぷりすれば良かった」
その一言は僕の心にずしりとのしかかって
命の重さをはじめて感じた
ほころんでく世界で 残された人たちだけで 成り立ってる
ちっぽけな輪で囲むように知らんぷりしてる 僕らは隠れん坊の途中さ
少しもあの頃と変わってないよ 忘れるためだけに生きてる
あの痛みも夢だったってことにした
今ではもう 得難いものばかりだ
失って 失って それでも残ったものが僕のすべてになる
この世界のすべてになる
残された世界に 風の余韻だけで回るジャングルジムと
砂場に 転がる小さなバケツとスコップ
誰かがつくった くずれた砂山
僕らはそんな思い出を忘れるために 今日を生きてる
それだけは間違いないんだ。