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詩人:evans
いつから 何処から
運行しているか
解らない循環列車
1両目には
病気や人生に悩み疲れ
苦しみの中を必死に
もがく乗客たち
2両目には
衣食住のものに飢えて
愛情と知識に飢えて
貪る乗客たち
3両目には
弱きものを見下しいじめ
権力や利己主義に媚び諂う
愚かな乗客たち
4両目には
互いに相手を罵り
暴力が横行する
怒りの乗客たち
5両目には
みな何もせず
ただ座っている
平穏な乗客たち
6両目には
招待旅行の仲間に囲まれ
歓談止まぬ乗客たち
天にも昇る想いを胸に
7両目には
講師の声に耳を傾け
書籍の研鑽エリートたち
8両目には
自らの理論や技術を
確立し達観した
学者や教授陣たち
みな われが一番
偉いと主張
9両目には
人のためにと
自己の損得省みず
動き回る乗客たち
1両目から9両目まで
さまざまな状況で
みな 行ったり来たり
向かい風をも苦とはせず
走り続ける環状線
いろいろな車両を
常に移動しながらも
走り続ける意味を知る
どの車両にいても
前へ前へと
進んでゆける可能性
可能性を開くための努力
それを自覚した瞬間にのみ
脳裏に浮かぶ10両目
そして 再び
1両目から9両目までを
常に歩き続ける・・・
永遠に続く環状線の車内で