詩人:高級スプーン
ある朝 起きると
髪の毛がすべて
抜けていた
変わりに
何かの芽が生えていて
鏡の前から
しばらく 動けなかった
病院には行かず
家の中
いつの日か
草木生い茂る頭
けれども
花は 咲かなかった
虫がわき 痒い
草木を抜こうとすると
根が張っていて 痛い
腕や足からも
芽が出て困る
最近は眠気もなく
食欲もない
視床下部 支障はないか
体は元気
ただ 外には出なかった
夜 山に行こう
どうせ
会社には行けない
あなたに会わせる
私も居ない
足を出すのが 辛い
上手く歩けない
其処にある公園
あの辺りに
隠れられないか 疲れた
いずれは 一本の木に
それは淡い夢
策はなく 生き詰まる
欲しいのはガソリンか
熱いのも苦しいのも 嫌だ
だが
このままの姿で居るのは
もっと 嫌だ
どうにもならないのか
もう
どうにもならないのか
どうしよう
どうすればいい
何がいけなかった
何故こうなった
分からない
考えられない
待ってくれ
諦めて降りよう
そんな気持ちに
なれるか
扉が閉まります
扉が閉まります
扉が