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詩人:どるとる
地球をお皿の上に乗せて いただきます
命さえ その器用な指先で弄んでしまう
いわばそれは フォークとナイフの関係によく似ている
僕はフォークで 世界はナイフで
僕は所詮 歯止めでしかない
如何様にも切り刻める その権利はすべて世界にある
量りにかけて 命を比べっこしてみる
命を計る物差しなんかあるはずないのに
人間の尊厳を無視してまで人のすべてを紐解くのか
僕はフォークのままでいいよ このまま
誰かを支えられるために生きれるなら
微かな 力で 影から世の中を支える役目に喜んで徹しよう
自由を与えられているのが唯一の救いだ
何を差し置いても 悲しみがあるのが 唯一の救いだ
茶番は続くよ おもちゃの剣と盾で
争いあう 滑稽な舞台で今日も
国と国とが 幼稚なケンカをしている
神様がいなかったことが 唯一の救いだ
人間の心が すべて悪に傾かなかったことが唯一の救いだ
僕が僕であることが
君が君であることが
二人が違う人間だということが一番の救いだ
お互いにナイフじゃなかったことが何よりの救いだ。