詩人:甘味亭 真朱麻呂
そこにあったはずの今は時を越えて
思い出になってしまった
美しくも切なくさせる
それが思い出
なにもかも新鮮だったのは
ただ単に若かったからだけじゃない
きっとそれは心とも若かったからだと思う
思い出や過去にすがって生きていくのは
きっと想うよりもずっと侘びしい
思い出はたまに思い出すから美しくも懐かしくも思えるんだ
毎回のようにあの日を思い返してばかりいては思い出とはいわない
在りし日のことを懐かしく想うのは
きっと若かった自分がどうしようもなく名残惜しいからで
羨ましいからで
だからきっと
僕は過去を彼方へ遠ざけられない
だから
輝きを失ってしまったみたいに
ただ心も体も老いぼれていくだけ
在りし日の唄を口ずさみながら。