詩人:どるとる
冬はもっぱらコタツムリだよ
コタツから離れられない
まるで僕はカタツムリかヤドカリみたい
コタツが貝殻で僕がナメクジみたいなやつのほうで
コタツムリは今日も
冬の寒い毎日を
ただ甘えながら
暮らしてる
外は北風がびゅーびゅー吹いている
しもやけになるのはごめんだね
コタツムリ二匹
コタツムリなのは僕だけじゃないはずだ
隣には同じようにこの憎々しいくらいの寒さに怒りを隠せない君も同じだろう
だけれど寒くなかったらこんなに近くにいれないよね
互いの吐き出す吐息もふれるほど近く
互いの心臓の鼓動も聴こえるほど近く
なるのは幸せなことだろう
コタツムリ 今日も
二人は コタツの貝殻でコタツに入りながらみかんを食い漫画を読みテレビも観る
二人は冬の寒さを互いの愛と体温でコタツの熱よりもお熱い温度に上昇していく
ああ コタツムリがに匹僕の部屋にいる
時折 足と足がふれる そのたび 向かい合わせる顔 頬を赤らませている
けっして寒さのせいじゃない
だって君といるとこんなにあたたかいから
寒くなくなって
冬が終わったなら
僕らはコタツから這い出てまた二足歩行で猿になる
それまではコタツムリとして生きていこう
長い長い冬の時間を寒くも楽しく過ごして行こう
お茶がさめるよ
早く 飲まなくちゃ
猫舌の君のことだから
すぐには飲めないだろう
僕がさましてあげるよ
なんて おのろけボーイミーツガール
二人は今日もコタツムリ
二人は明日もコタツムリ
この冬が終わるまで
あの霜がおりたとき
二人はコタツの中身を寄せ合いあたたまる
僕は君を愛してるよ…
私もよ
なんて 小さなコタツの中 言い交わされる
冬の日の恋物語
もう そんな歳でもないけど言いたいんだ
この秘密の二人の隠れ家でなら言えるんだ
僕ら互いにもっぱら寒いのが苦手なコタツムリ。