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詩人:どるとる
形のない見えないものでも命を持っているんだよ
血染めの体を ふるわせながら 産まれてきたあなたに歌うよ
羽根もない僕だけれど
空も飛べないよ
魚じゃないから水に潜っても息も続かない
だけど 誰かを愛する為に きっとこの手はあるのだろう
そして、一歩一歩大地を踏みしめるために足はある
何も特別なことなんて出来そうもないから
せめて血まみれのプレゼントをあげるよ
僕の命で濡らした このプレゼントは 生きてるって
脈打ちながら 君の中で僕は僕の知らない僕に変わる
グロテスクなんて言わないでほしいんだ
誰もがそうやって産まれてきたんだよ お母さんのお腹から
全部を説明してしまうと複雑に絡まる
だから少しずつ噛み砕いて話そうか
僕のために用意された一人用の椅子に僕は座ると
いつしか一人じゃ寂しくなって同じように寂しがる君を見つけた
何ひとつわからない 肝心なところは見えないまま
だからせめて誰かを僕の血で汚してみたいんだ
僕の半分を受け継いだこのプレゼントは命と名付けられ
魔法のように 君の中で少しずつ形になっていくんだよ
産声がひとつ世界をふるわせたら
僕は君を 抱きしめてよくやったと言った
君は何も言わずに笑ってたよね
うれしかった
何も特別なことなんて出来そうもないから
せめて血まみれのプレゼントをあげるよ
僕の命で濡らした このプレゼントは 生きてるって
脈打ちながら 君の中で僕は僕の知らない僕に変わる
君の中で世界は君の知らない世界に変わる。