詩人:どるとる
がらくたかき集めてつくった
思い出だから
いつの間にか 時間に押しつぶされて壊れてしまうのでしょう
たとえば押し寄せる波に 身を沈めるようにさらわれるように
少しずつ 明日に 向かえればいいな
危なげな足取りでも
ストロボみたいに 一瞬の光に すべてをあずけても
次の瞬間にはもう 消えてしまったその光は 見えないんです
風が通り過ぎたあとには 足跡さえ残らない
不器用な手つきで 組み立てたり作り直したり
気づけばほら 自分でも思いもしないような気持ちが出来上がる
形のないすべてのものに 意味を求めればすぐに
「見えない」とか「聞こえない」とかそれだけで
人はないものと決めつける
ストロボは はかないその一瞬を切り取って 笑ったり泣いたりする様を ひとつひとつ 網膜に焼きつける 消えてしまわないように
思い出はふれられない 心の中にしか残らない
また ひとつ 遠い昔の記憶は 記憶の底に沈んでしまう
変わってゆく世界の中で いつまでも変わらないものはあるのでしょうか
ストロボみたいに 一瞬の光に すべてをあずけても
次の瞬間にはもう 消えてしまったその光は 見えないんです
風が通り過ぎたあとには 足跡さえ残らない
それでも どことなく なつかしい声や景色が
見えるようで 聞こえるようで。