詩人:けむり
どこかで誰かは求めてる
この頼りなく弱っちいおれを
おれは簡単にヘコむ
すぐにいじける
叱られたことを何日も引きずり
バカにされたことを延々根に持つ
だけど聞いて
おれはダイアモンドを持っている
ちっさくて
黄ばんでいるが
ダイアモンドはダイアモンドだ
けっして誰にもゆずれない
胸の真ん中で光ってる
ダイアモンドだ
どこかで誰かが待っている
いつかおれが王子サマになって現れる日を
大金持ちにもなれない
英雄にもなれない
おれはおれで生きていくだけ
特別な奴なんかじゃあけっしてないけど
誰かがおれを捜してる
おれは産まれてきたのさ
父と母が愛し合い
おれがおれとして産まれてきた
その天文学的確率
おれは産まれ
おれとして生きている
愛し合うために
お姫サマと巡り会うために
おれは産まれた
どこかで誰かが待っている
そしてやがて出会う
おれたちは共鳴している
二人は今すでに惹かれ合っている
その確かさこそが
この胸が鼓動するわけさ