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[187302] 電車

詩人:村和緒

袋ごと割って焼芋を渡して居る私は
やぶけそうな静かな午後を野水仙を見ながら過ごして居る
これから売る仔牛の名を決めかねて居ると春の雨が降って来た
ゆっくりと曲がる電車を見て居ると冬木立が屹立して居るのに今さらの様に気付く
電車に乗れば優先席には誰も居ない、さみしい。
もう少したっていなさいと自分に言い聞かせて居ると車窓から
雪だるまが置いてあるのが見えて来た。

*以下6句を元に詩作しました。
袋ごと割って焼芋渡しけり 風の鳥
やぶけそうな静かな午後です野水仙 伏兎
売る仔牛名を決めかねる春の雨 大塚正路
ゆっくりと曲がる電車や冬木立 草紅葉
誰も居ぬ優先席の寒さかな 岡本ニャオカ
もう少し立っていなさい雪達磨 清水ケンジ

2015/01/20 (Tue)
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